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人生論としての読書論(森信三 著)を読んで

人生論としての読書論の感想と要約。

主として教職員向けに書かれた読書法の本。一般の人にも十分な内容。 読書は心の養分である。一食抜くと堪える人は多いが、一日読書をしなくても平気な人は多い。しかしそれはよくない。 「自分は近頃忙しくて、とても本など読んではいられない」を「自分は近頃忙しくて、食事などは一切していない」という人はいないと言っている。 本書では読書法の8、9割は本の選択であると言っている。つまり本をいかに選ぶかが重要であるのだ。本を読み慣れている人はある程度自力で選べるが、読書経験が少ない人は選ぶ本を間違えやすい。 本書が勧める本の選び方は ・本を適当なところで開いて、その2ページを読む。そして心に触れる部分があるか確かめる。全く無かったらその本は今は読む必要はない。 ・もう一か所開いて、その2ページを読む。そこにも心に触れる部分があるか確かめる。 ・できればもう一か所(計三か所)開いて心に触れる部分があるか確かめる。 これをクリアした本は買って全精魂を傾けて一気に読むとよい。

本の読み方は ・一日最低30分以上 ・毎日決まった時刻 ・酒を飲まずに 行うことを勧めている。 通常ならば一時間半の読書が望ましい。 もし今日は何らかの都合で一時間しか読めなかったら翌日は二時間読むという意気込みで読む。 また、ページ数を決めて読む方法もある。時間の縛りがなくなるが、精読か多読によって読書量が変わる。 また哲学書と小説で同じページ数を課すのは変であることを留意すべきである。 一日50ページ読むならば5日間で250ページの本が読める。支障を考えても一週間で一冊読める計算になる。月4冊は読めることになる。 専門書は精読したほうがよい。そして2、3回読みなおすことが必要な場合も多い。教養のための読書ならば多読でもよい。 傍線を引くことには賛否両論あるが、たくさん書きこむ場合はその本をもう一冊買っておくとよい。 本の読み方は ・全感動をもって ・一気呵成に である。 数冊同時並行で読む方法は飽きを防ぐことができる。また頭の体操にもなる。しかしどの本にあの言葉が書いてあったかを思い出すことが難しい場合がある。さらに一気に読むことによる感動が薄れることがある。 著者は並行より直列を勧めている。

書斎を設けることにも言及している。 理想は四畳半の北に面した部屋がよい。四畳半の理由は日本人にとって狭くも広くもないからである。北に面している理由は朝夕の強い日差しを避けることができ、南の動く日光に煩わされることがないからである。 住宅事情で書斎が設けられないならば、部屋を屏風で仕切るだけでもだいぶ変わるので実践してほしい。 和室洋室の違いは好みでよい。 教師に向けて書かれている本なので学校での読書にも言及されている。 教師は子供が全て帰ってから読むとよい。 また、移動中の読書についても書かれている。電車やバスを乗る際に本を準備しておくのは当たり前で、乗る前の待っている間にも読むのが読書人だと書いてある。 乗り物に乗って一分以内に読み始めておくのが良いらしい。 枕頭の読書には詩集などが向いている。 とにかく本を開けばすぐそこが書斎になるレベルの読書人が望ましい。

少年期、青年期、壮年期、老年期によって読む本は変わる。ただ、老年期には青年期の本を読まないと老いるので様々な本を読むとよい。 必読書や読書会は主催する人のレベルが相応でないと徒労に終わる。だが成功した暁にはかなりの成果が得られる。 教室の学級文庫は全て担任が読んだ後に揃えるべきである。 また、卒業後にも読書指導ができるレベルだとよい。

本の弊害は実践が減るという指摘がある。しかし真の読書人は実践を行う。「知者は迷う」というが、とりあえずは目の前の仕事を片付けてから読書すれば問題は少ないようだ。

字が読めるのに本を読まないのは生への冒涜であると言っている。 本を読むことにより人類の英知を自分のものにできる。得難い体験も学ぶことができる。

なにより本を読むことは素晴らしい。

なかなかの良書である。